義父の自転車 その1
玄関に古くてさび付いていて、何年も使っていない
自転車が置いてある
義父の自転車だ
義父は、車いす生活だから、自転車に乗ることは
ないと思うのだが、処分を嫌がる
自転車だけでなく、どんなに不要と思われるものでも、
この家では、義父の許可なしには処分出来ない
先日、息子に邪魔だから捨てちゃえばと言われ、
「おじいちゃんがイヤがるから出来ないの
この家はおじいちゃんのうちだから」と言ったら
「俺は知らねえよ」と吐き捨てるように言われた
この家はおじいちゃんの家だから、勝手なことは
出来ないの
私たちはただで住まわせてもらってるのだから
ずっとそう言い続けて来た
窮屈だったよね
ごめんね
早くおじいちゃんが死ねばいいのにね
ママも心からそう思うの
でもなかなか死なないの
そう言いたい衝動にいつもかられるが、
かろうじて言わずに済んでいる
それには理由があった つづく