義父の自転車 その2
私が息子に「おじいちゃんがいなくなればいいのに」と
言わない理由・・・
それは、母が私にいつも言っていた言葉だからだ
私の実家も、今と同じ、3世代同居の家だった
私と弟、両親、祖父母、そして母にとっての年上の
義妹もいた
家は古く、お金はなく、両親の仲は悪い
なんでうちは建て替えないの?
なんでうちは旅行に行かないの?
そう聞く度に、母は言った
「おばあちゃんがいるからよ」
「おばあちゃんが死ねば、建て替えられる
旅行もできる」と・・・
そうなんだ、おばあちゃんが死ねばいいんだ
そう思い、育った
私が20歳の時に、祖母が亡くなった
私は悲しくなかった
泣かなかった
それどころか、祖母の実の娘、叔母の目の前で
母に、「やっと死んでくれたね」と言い放ったのであった
母のその時の心中を思うと今更ながら
同情する
お母さん、ごめんね つづく